<< 「さよなら、ぼくらの大煙突」終了 | main | 東北電力の応援派遣 >>

「さよなら、ぼくらの大煙突」報告

先日開催した八戸工場大学2018アートプロジェクト「さよなら、ぼくらの大煙突」の報告です。





今回は「みんなのエネルギーで、大煙突に光を!」という企画で、来月から解体が始まる3号発電機の大煙突の最後の立ち姿をこの目に焼き付け、もうすぐ見れなくなってしまう”大煙突のある風景”を記憶に残そうというもの。
昨年からリサーチを続け、菊地が企画立案・ディレクション。主催の八戸市、工場大学受講生や助手さん、火力発電所の皆さんと協働し、共に考え、共に汗を流して実現する事が出来ました。






現在の八戸火力はLNGを燃料とした5号機によって発電していますが、今回は“アートプロジェクトのために”設置された世界初の発電機「6号機」で人力発電してその電気で煙突を照らします。電気を使う側だった私たちが作る側にまわってみようと。それはすなわち、これまでアートを見る側だった人も作る側に回ってみるという試みでもあります。一方通行の受動的な鑑賞行為ではなく、自分自身が生み出し手になる体験を通して“みるということをもっと真剣に考える”きっかけになってほしいという思いも込めています。
《6号機、運開。》と《発電光流星群》がセットになっています。
※運開は電力用語で、運転開始の意。



構内に、仮設テントの6号機を設置。



発電所の作業服を試着出来るコーナーも。これを着て発電したり、6号機看板の前で記念撮影する人がたくさんいました。



受付で「運転員記念証」を配り、その色が発電チームのチームカラーになってます。
3チームに分かれて発電します。



チームカラーのたすきを掛けて、いざ6号機へ。



大量のエアロバイク型発電マシンが並ぶ6号機建屋内。3チーム合計で75whを目標に発電します。
これがやってみると結構きつい。ギャラリーは声援を飛ばし、皆さん必死に漕いでくださいました。


目標値に達すると、バッテリーに蓄電された電力でいよいよ煙突に光の流星群が。 投光演出をディレクションしていたせいで、演出中の写真を撮りそびれました・・・。ただ、動的な演出だったので静止画だと伝わりにくい気がします。以下は、火力発電所の電気によるライトアップ時のものです。



プロジェクターによる映像投影に加え、人の手による投光も実施。
発電所の所員が投光器を手に持ち動かすという、デジタルとアナログの融合です。実は、デジ・アナミックスは色々あった結果の苦肉の策だったのですが、結果的にはこれが思った以上に本当によかった!
電力も、エネルギーミックスが重要だと火力さんが言ってました。(笑)

※you tubeに記録動画がアップされていました。





会場の様子。お隣のオレンジ色に染まっている工場は以前「虹色の狼煙」を行なった大平洋金属さん。
会場内でオリジナルグッズの販売とドリンク提供を行い、こちらも好評でした。



今回のプロジェクトはこれまでより準備期間が短かったことや、夏開催イベントのため僕自身のスケジュールが過密などの不安要素だらけで、万全とは言い難い状態で現場入りしました。最終的な投光映像を完成させたのは本番当日の昼(苦笑)。
しかし、八戸火力の皆さんが本当に一生懸命協力してくださり、天候やスタッフ・アシスタントにも大変恵まれて、今回も!「総力の発揮」でカタチにする事が出来ました。6年目の八戸工場大学、アート&クリエイティブの視点から工場とここまで近づけるとは。断られても、諦めずに続けてきてよかったです。

昨今すっかり定型化され、野外展化・フェス化してきたアートプロジェクト・芸術祭とは違う、本当にいまここでしか出来ない事をやりたい、アートにしか出来ない事で地域の価値を再考したい、より一歩踏み込んで進化し続けたい、その思いで今回はここまで辿り着けたのかもしれません。
ホワイトキューブの中にあるものに対して「アートプロジェクト・地域アートはあくまで飛び道具で、それは本物のアートじゃないよね。」と一段低く見るところが(主に美術関係者の中に)根強くありますし、そう言われても仕方ないだろうという次元のものも存在するのは事実です。
今回は、自分の中での新しい実験でもありました。基本的に、本当に興味のある人が来てくれればよいという発想が頭の片隅にあるので、大多数に浅く見てもらうよりは一人でも深く見てもらった方がよいと考えてきました。例えば、いわゆる展示や演奏ならそれでも成立はします。ただ、今回はあえて自分の首を絞めて、ある程度の人が来てくれないとそもそも企画と作品自体が成立しないようにした訳です。これは初の試みでした。市民・工場・行政・アーティストの4者がそれぞれ不可欠な、このプロジェクトの特徴そのものを体現した企画だったとも言えるでしょう。
アリバイとしての市民参加や地域連携あるいは単純な“地域資源の作品化”ではなく、市民や工場と繋がることでしかなし得ないものを通じて新しいアートの可能性を探り続けていきたいと真に思います。
参加者から「自分が必死で漕いで作った電気で点灯するので、集中して見た」という意見も聞こえ、狙い通りの反応に嬉しくなりました。また、電気をつくるのは結構大変(相応のエネルギーがいる!)ということも体感いただけたのでは。

企画段階では随分苦しみましたが、多くの方の力(エネルギー)を結集してこのプロジェクトを実現出来たことを誇らしく思います。

※トークで話題にしたのですが、本番時に火力の皆さんの(来場者に対して自分達の工場を案内する)誇らしげな姿は大変印象的でした。きっと日頃の、電力安定供給という業務に取り組む真摯な姿勢が裏付けているものなのだなと感じ、これは是非たくさんの人に知ってもらいたいもの。今まさに生きている工場と一緒に取り組んでいるからこそ、お互いにたくさんの発見と共有が出来たと思います。

最後に、本プロジェクト実現に尽力いただいた本当に多くの皆さまと、6号機の運転員として発電していただいたご来場者の皆様に、企画立案者として厚く御礼申し上げます。

一夏の幻として誕生した6号発電機はイベント終了後撤去され、大煙突の解体も迫っています。


(菊地)

スポンサーサイト

  • 2019.10.11 Friday
  • -
  • 12:34
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
トラックバック
profile
links
calendar
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>
contact
コールマイン研究室へのお問い合わせはこちらからどうぞ
selected entries
categories
recent comment
coal mine BOOK
coal mine BOOK
others
mobile
qrcode
カウンタ
ブログパーツUL5
sponsored links
みんなのブログポータル JUGEM