「さよなら、ぼくらの大煙突」ドキュメント映像

昨夏に開催した、八戸工場大学によるアートプロジェクト「さよなら、ぼくらの大煙突」のドキュメント映像が公開されました。
実施にあたり全面的にご協力いただいた東北電力八戸火力発電所の所員の皆様にも、プロジェクトに関してコメントをお寄せいただいています。このタイミングだからこそ実現出来た、現役バリバリの火力発電所を舞台にした稀有なアートプロジェクトの様子を、記録映像にて是非ご覧下さい。


youtubeリンク



(菊地)

船から、工場。

ひょんな事から、年度内に何度かまた八戸に行くことに。今回は、工場大学の課外活動の「船から工場景観を眺めるプログラム」にも参加してきました。八戸通いは9年目(八戸入りした回数は述べ4〜50回くらいいってるかも・・・)ですが、海上から遊覧船で工場を眺めるのは初めてでした。


餌にむらがるウミネコたち。八戸はウミネコの一大繁殖地としても有名です。


8月のアートプロジェクトで取り上げた八戸火力の大煙突。解体進行中。


三菱製紙さん。新たなプラントを建造中。完成が楽しみですね。


セメントの積み出し施設。


八戸の新しい案件については、来年春頃にはご紹介出来ると思います。また、工場大学の来年度の企画もプランニングしましたので、諸々乞うご期待。


(菊地)

コンセプトマケット

「さよなら、ぼくらの大煙突」の企画検討時に制作した、八戸火力発電所3号発電機煙突の模型です。



かつて制作した立坑櫓の立体作品も、1月に展示した「タワープラント8」も、実際に自分で作ってみることで魅力や構造に気づかされる事があります。今回の煙突はその中でも複雑な形状。そして、この線材で構成されたシルエットにどのように照明を仕込んで点灯イメージを表現するか、苦心しました。
今回の企画の中で、展示して実際に見てもらえるとよいのですが・・・。

さて、本企画の画期的なポイントの一つは、アートプロジェクトのために発電所敷地内の一部を一般解放する事です。これまでに行った「-162°の炎」でも「虹色の狼煙」でも、観客が工場の敷地内に立ち入る事は叶いませんでした。通常、工場は厳密に管理されていますので、許可を得て事前申し込みした人や関係者しか立ち入る事が出来ないのが一般的です。今回は、発電所側の特別な配慮で当日の受付入場が実現しました。また、通常は見学者であっても構内ではヘルメット着用が義務付けられているのですが、区画を限定する事でヘルメットなしで入場出来ます。

この二日間だけ特別に、間近から大煙突を眺める事が出来ます。是非、ご来場下さい。 明日から現地で最終準備に入ります。


(菊地)

「さよなら、ぼくらの大煙突」ビジュアル




しつこく書きますが、今回試みるのは『アート作品が用意されていて、鑑賞者の皆様どうぞご覧下さい』もしくは『綺麗にライトアップするので、みなさん是非写真撮って下さい』というものとは少し違います。

来場者自身が発電して、その電力で大煙突を照らすというもの。発電所は電気を「つくる」ところであり、その電気を「使って」私たちは生活しています。この「つくるとつかう」の関係が、アートにおける「つくるとみる」の関係性に重なる気がしたところから着想したものです。
(電気を)”つくる”場である発電所において、(アートも)”つくる”側に回ることで初めて”みる”ことが出来ると。いわゆる「鑑賞者の問題」や「みるということをもっと真剣に考えないといけない」といった長年気になっていた項目があり、作り手と受け手を隔てる第四の壁を取り払う試みは、アートプロジェクトにおいてこそ意味を持ち得るのではないかと考えました。

こんな一味違ったアートプロジェクト、どうなるか分かりませんが是非ご来場ください。


(菊地)

「さよなら、ぼくらの大煙突」予告

今夏のプロジェクト情報がようやくリリースになりました。
既に本番まで約半月ですが・・・。

八戸工場大学ウェブサイト『さよなら、ぼくらの大煙突』



テートモダンや発電所美術館を筆頭に、役目を終えた発電所や工場跡で行われる企画は数あれど、現役で稼働中の最新鋭火力発電所の中で、大手電力会社の全面協力のもと、行政も市民も1つになってアーティストの発想を実現させるという取組みは他に類を見ないでしょう。
そして、アートプロジェクトや芸術祭で当たり前になっている「アーティストが(何がしかの地域資源や場所性を取り込んで)作品化する・受け手はその作品を鑑賞する」という構造とは少し違うものを試みます。アートにおいて、『第四の壁』を取り払ったらどうなるのか。発電所という場所だからこそ実験してみたいと考えたものです。

■プロジェクトサイトについて

東北電力八戸火力発電所は昭和33年に運開し、今年60周年。主に北東北の電力をまかない、青森県内に限ってはその8割を同発電所が担っています。現行の5号機はLNGを燃料とし、世界トップクラスの効率と環境性能を持つコンバインドサイクル発電。LNGは、八戸工場大学とJX LNGサービスが連携した「-162℃の炎」の舞台となった八戸LNG基地からパイプラインにてJX LNGサービスから供給されています。
東北電力初の火力発電所でありながら、東北電力初のメガソーラーも稼働しており、同社の歩み・東北のエネルギー史の中でも重要な発電所だと言えます。同発電所による安定した電力供給は、工業都市八戸の発展を支えてきました。先の震災時には発電施設が被災したものの、めざましいスピードで戦列復帰を果たしました。
今回のプロジェクトでは、2016年に役目を終え今秋から解体が始まる3号機の大煙突を取り上げます。

※東北電力の成り立ちや被災状況・対応などについては『電力と震災 東北「復興」電力物語』(町田徹/2014)が詳しい。



是非ご来場ください。

(菊地)

受賞のお知らせ

八戸工場大学2017が、一般財団法人地域活性化センターによる「第22回ふるさとイベント大賞」のふるさとキラリ賞(選考委員会表彰)を受賞しました。
ふるさとイベント大賞とは、全国各地で数多く開催されている地域の活力を生み出すイベントを表彰することにより、ふるさとイベントの更なる発展を応援することを目的としたものだそうです。

大賞(内閣総理大臣賞)は逃しましたが、他の受賞イベントラインナップを見ると、地域に根ざしたお祭りからマラソンイベント、伝統文化系の催しなど幅広いです。音楽コンクールといった文化的な取組みも含まれていますが、”いわゆる現代美術系のアートプロジェクト”が受賞するのは大地の芸術祭・越後妻有アートトリエンナーレ2000以来かもしれません。今回の選考委員長が北川フラム氏という事も、今回の受賞につながった要因なのでは。

ちなみに、他の受賞イベントの開催回数が13回〜41回であり、大賞に至っては200年以上の歴史がある中、工場大学が開催「4」で受賞したのは特異な点かもしれません。

八戸工場大学は、今後もユニークな活動を続けていきます。
今までよりも、操業中の工場にさらに一歩踏み込んだ形で、他に類のないプロジェクト実現を目指して計画中です。来年度の企画にご期待下さい。


(菊地)

会場写真

八戸・工場アート展の会場写真の一部を載せます。





見付となるタイトルパネル。受講生の皆さん&学生と共に組み立てました。 今回の会場となった「はっち」は白壁の多い空間だったので、あえて黒で締めています。








ゲストアーティストSaccoさんの展示。八戸の工場リサーチを経て生み出された「工場工場シリーズ」と題された作品群。着眼点が独特で、その新鮮な視点から、新しい工場の魅力に気付かされました。






八戸工場大学のドキュメント展示。これまでと、これからを予感させる内容で構成しました。過去に展示した模型や美術部の旗など、この5年を知る人にとっては懐かしい展示物も。5年目と言えど、知名度はまだまだなので、活動を知ってもらうきっかけになってほしかったのです。










公開制作を行った「タワープラント8」。昨年の夏以降、プランニング・模型での検証・設計・パーツ作り・滞在制作と、ずっとこれをやっていた気がします。この規模で尚かつ精緻な作品を作るには、考えなくてはいけない事がたくさんあります。会場の特性・展覧会全体のバランス・施工方法・安全性・経済性・制作参加者の関わり代・現場の段取りなどなど。

怪我や事故なく無事に竣工する事が出来ました。会期中、かつて八戸セメントで働かれていた方からお声がけをいただき、大変感激しました。この規模から、受講生らと一緒に作り上げた事に驚かれる方もいらっしゃいました。

この他、八戸在住の大西幹夫さんによる八戸の工場景観をモチーフとした切り絵作品群、工場大学写真部による独自の切り口による写真も大変見応えがありました。クラフト部のセンスあるグッズ販売などもあり、工場をもっと知ろう・楽しもうという空気に溢れた、全体として実に八戸工場大学らしい展覧会になっていたと思います。ちなみに、本展には様々な形で八戸の各工場にご協力を頂いた点を書き添えておきます。

計画が進んでいる新美術館においてもこのような市民と共に創作する活動が展開していけたらよいなと思ってます。が、まずは来年度のプロジェクトにおいてもより高い次元で工場との連携プロジェクトが実施出来るよう、注力していきます。


(菊地)

八戸・工場アート展 終了





昨年末から滞在制作をしていた「八戸・工場アート展」が終了しました。会期中には1000名を超える来場があり、様々な反響がありました。

本展は、工場大学5年目の節目の句読点として展覧会形式で企画し、自分の中での新しい実験でもありました。地域アートが各地で盛んな今日、その地域ならではの資源にスポットをあてる企画も多く見られます。そういった資源の写真展やパネル展示・オンパレ展示といった次元を超えて、メディアもキャリアも出自も世代も違うけれど、工場に惹かれ、それを表現行為につなげているアーティストと工場が好きな市民が、それぞれに工場への思いや惹かれる理由をダイレクトにぶつけた作品群による展覧会。

なぜ、好きなのか。どこにグッとくるのか。言語化出来ないその「感覚」は、視覚表現を通じてこそ表象されるのではないかと考えました。八戸の工場をモチーフに限定した意味で、決して派手でキャッチーな企画ではないものの、基幹産業として地道に八戸を支える工場群にアート作品でアプローチして、その感覚や思いを共有したい、工場と繋がりたい、その強い思いから企画を組み立てました。

歴史化して価値や評価がついてくる前の、今、生きている工場の多様な魅力を掘り下げたい。そしてこのプロジェクトをさらに前進させたい。そんなことをグルグルと考えながら、制作に臨みました。
公開制作を行った、高さ5mの「タワープラント8」は、受講生の皆様、工場大学運営コアメンバー、コールマインラボ林哲氏、北海道教育大学の学生有志、八戸市役所の皆さんと、本当にたくさんの力をお借りして、今回も「総力の発揮」で完成させることが出来ました。会期終了後の解体も安全第一で無事に完遂。
本企画に関わっていただいたすべての皆様に感謝申し上げます。

追って、会場の写真をアップしたいと思います。


(菊地)

アーティストトーク情報

「八戸・工場アート展」最終日の1月14日に、出品作家によるアーティストトークが実施されます。今年度のゲストアーティストであるSaccoさん(画家)、八戸在住の大西幹夫さん(切り絵作家)、菊地拓児(八戸工場大学アドバイザー)の3人に加え、特別ゲストとして國盛麻衣佳さん(アーティスト)をお招きします。

改めてご紹介するまでもないとは思いますが、コールマインラボのメンバーとして共に活動し、今春には九州大学で博士号(芸術工学)を取得されました。産炭地の美術活動に関するご自身の研究から、地域における産業と美術の関係性や事例について八戸と照らし合わせながらお話いただく予定です。

コールマイン・ラボが発足して今年で10年。八戸工場大学は5年。節目のタイミングにて國盛さんとのトーク実現、今から楽しみです。先着順になっていますので、参加希望の方はホームページから是非予約を。


(菊地)

『タワープラント8』とは

八戸の工場群の中には、八戸セメントのNSPタワーや三菱製紙の連続蒸解釜など、高く、大きく、シンボリックな設備が見られます。炭鉱町の風景で象徴的な設備が立坑だとすると、工場におけるシンボルはこれらの塔のような設備群のように感じます。
工場のスケールには遠く及びませんが、その迫力を少しでも体現すべく、展示室の中に巨大な工場塔を建造する事にしました。せっかくなら、妄想の中でもっとかっこよくしたいと思い、特定のタワーのトレースではなく大幅なアレンジを加えながら現実には存在しない架空の工場塔を建てます。

こんなものを大変な労力を費やして作る奇特な人はいないと思いますので、この異様な造型物が、本展覧会の1つの目玉になればと思っています。光り放つ空想の工場塔。この時、八戸でしか見る事が出来ませんので、是非会場で目撃して下さい!


(菊地)

profile
links
calendar
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< December 2019 >>
contact
コールマイン研究室へのお問い合わせはこちらからどうぞ
selected entries
categories
recent comment
coal mine BOOK
coal mine BOOK
others
mobile
qrcode
カウンタ
ブログパーツUL5
sponsored links
みんなのブログポータル JUGEM